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フューチャーセンターで「未来の農業」をみんなで考えてみた

2013/01/05 ysdyt 1 Comment

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去る2012.12.22 に住職 豅(ながたに)さんのご好意により、順光寺で「Shimane Future Center 大忘年会スペシャル」を行いました。

当日の参加者は15人ほど。これまで10回行った会のうちで最大規模。

大体6人ずつ、3班に分かれて行ったフューチャーセッションのうち自分がファシリテーターを務めた第1班の内容をレポートします。

 

「島根の問題」×「農家のこせがれネットワーク」から見えてくるもの

第1班では「島根の問題」と「農家のこせがれネットワーク」という二つのキーワードから関連性を模索し、実際に島根で起こっている(起こりうる)問題にどう対処すれば良いかという話題になった。

農家のこせがれネットワーク“とは、「実家は農家だが自分は畑をやったことがない」という農家を離れ都市部に暮らす農家の息子・娘世代を対象にしたネットワークである。農家をやりたいがやり方がわからない若い世代に対して、ノウハウを伝えたり、同じ世代間で繋がりを作る事で農業の推進を目的としたネットワーク。全国の農家・こせがれを応援し、プロデュースするためにさまざまな活動が行われている。

若い世代の農業離れ・後継者不足問題はそのまま「島根の問題」であり、日本の問題といえる。もしもこの問題を解決できるロールモデルを島根で作る事ができれば、それは「日本のロールモデル」となり、これから高齢化が進む「世界の先進国のロールモデル」となることができる。

 

第1班で話し合い、個人的にオモシロかったと思う内容を箇条書き形式?で羅列します。

 

– 結局何があれば島根に定住するのか?

島根に農業をする前に、どうすれば若い人が島根に残るのか?という話があった。それによると、

  1. たくさんの選択肢がある就職先がある事
  2. 大きなショッピングモールがある事

が最低限の必須条件として上がった。

“交通の便が良い事”や”遊ぶところがある事”などが他にも上がったが、「本当に最低必須条件か?」と考えると先の二つが最低条件らしい。確かに自分も上記の二つがあれば生活は困らなくなり、ひとまずは楽しく過ごせそう。意識はしていないが、多くの人の生活も意外にこれで事足りている事が多いのではないだろうか。

 

– 若い人は農業の何が嫌なのか?

別に「大変そう」だから農業がやりたくない訳ではないはず。

「どうして農業を就職先として選ばないか?」という質問に対して挙がった意見は、

  1. 給料が安い
  2. (見た目や社会的イメージを含め職業として)ダサい
  3. 社会的な地位が認められていない (就活生が親に「農家に就職したい!」といえば親はどんなリアクションをするかは容易に想像がつく)
  4. 大卒が就く職業だと(社会的に)見られていない

この条件では大卒うんぬんに関わらず農業に就きたい人などいる筈が無い。

「農業のすばらしさ・重要さ」を訴えるより先にこのへんをどうにかしないといけないのではないか。

 

– 島根に誇る野菜は無いのか?

野菜には”ブランド”が必要だという話がでた。

ところで島根には特産品野菜やブランド野菜がないのか?

いや、実は “あすっこ” と呼ばれる野菜が存在するらしい。

リンク先から引用すると

● ‘あすっこ’は、ブロッコリー(母親)とビタミン菜(父親)を交配させ、平成15年に島根県農業技術センターで誕生したアブラナ科の野菜です。

● アスパラガスのようなしなやかなわき芽(花茎)を食べます。

● 葉の花に似ていますが、花蕾には菜花類特有の苦みがありません。

※ビタミン菜:1950年代に島根県農事試験場において育成されたツケナ

 

オモシロいのはこれを島根県しか作っていないところ。

●‘あすっこ’の名前は「島根の明日をめざす野菜」との願いを込めて名付けられました。また、アスパラガスのような食感とビタミンC(アスコルビン酸)が豊富なことから「あす」をとって名付けました。

 

しかし問題は知名度が低い事。島根在住者でも知らない人が同会場にも結構いた。島根県は総じて「アピール力・宣伝力が足りない」という欠点がある。これに対して「そういうところが島根っぽくてかわいい」という人も結構いるが、昨年巨額を投じて開催された島根県の一大イベント「神話博しまね」の来場者数を見ても、その言い訳は痛くなりつつある。”あすっこ”を例として、他にも無名の優良野菜はゴロゴロとありそうな気がする。島根が独自に取り扱える野菜が無い事はない。

 

– すごい会社、ちゃんと存在してます。

話を聞いてみると、島根県邑南町には”シックスプロデュース“というヤバい会社が存在するらしい。

シックスプロデュースは1次産業から3次産業まですべてを足し合わせた”6次産業”という

概念を元に、生産から流通・販売までをすべて垂直統合型経営でやってしまっているすごい会社らしい。公開されている会社概要によると、全国でも3件しかない”完全自然放牧“を行う牧場を経営し、乳製品をメインに農業、林業、漁業, 製造業, 卸売業、小売業, 宿泊業、飲食サービス業など、多岐にわたる「分類不能の産業」となっている。

従業員数は8名で、社長は島根県立大学出身 洲濱(すはま)正明さん。1983年生まれとすごく若い。

販売されている牛乳には”シックスプロデュースブランド”が既に浸透しつつある。また6次産業ノウハウは隠す事無く、聞きにくる人がいれば教えているらしい。ヤバい。ぜひ一度訪問しようと1人心に堅く誓ったのだった。

経営者のこだわりを損ねないような、農協のような旧態のシステムに頼らない経営法というものがこれからもどんどん増えていくと思う。「独立した一次産業」を行うための方法を学ぶ場がもっと必要である。そういう意味でもシックスプロデュースのような会社の存在はものすごく大きい。

 

– 現代の若者の「働く理由」って?

先の「農家のこせがれネットワーク」では、農業を”3K産業“に押し上げることを目標にしている。”3K”とは、「かっこよく・感動があって・稼げる」産業ということらしい。

これをこじつけのKだと思うだろうか?自分はこれを聞いた瞬間、胸に刺さった。

かつては、「名誉」や「会社のネームバリュー」、「安定」などが仕事に求める大きな部分を占めていたかもしれない。しかし、その反動としての現代の若者こそ仕事に「やりがい」や「感動」「誇り」を求めているのだと感じる。3Kは現代の若者が仕事に求めるズバリなエッセンスかもしれない。シックスプロデュースでは、農業が小学生の就職希望ランキング1位になることを目指している。かなりアツい。

 

 

「未来の農業の形」を考えてみた。


いろいろな意見を元に第1班のまとめとして「島根の農業問題」を考えてみる。

 

「島根の農業問題」とは、

  1. 有名な特産品が上がらない
  2. 農家後継者不足
  3. アピール力不足

となる。

これは日本全体の農業問題そのものでもある。

 

– 解決策案

まずは農業のイメージアップが必要となる。これにはすでに取り組んでいる人たちがいる。

山ガールファッションが受けた事で、ほんの数年前まで中高年しかしなかった登山に若い女性が溢れることになった。それと同じメソッドが農業でもできるかもしれない。まずはお手軽に”週末農業”からでも始められるような「農業・農業の見せ方の工夫(イメージアップ戦略)」が必要となる。

 

次に、社会的な農業の地位向上について。

“農家”を公務員にする、という案も出た。それもオモシロいかもしれない。

民間でやる場合でも先にも出たシックスプロデュースのメソッドは多いに参考になりそうだ。これから先、シックスプロデュースのような会社が品質の良い安全なブランド野菜を打ち出せるなら、給料は安定し、ブランドを扱う会社として社会的な箔もつくかもしれない。また、生産から販売までを行う6次産業的会社には、マーケティングなどのさまざまなアカデミックな専門性を持つ人が必要となり、自分のスキルを磨く場にもなる。農業のもつ”肉体労働”的なイメージの払拭にもなる。6次産業がシステム化・ノウハウ化されれば、それを専門に教える教育機関があればいいかもしれない。「農業を本気で学びたい奴は島根に来い!」という感じで、お互いに高め合う仲間がいる学びの環境ができれば最高である。6次産業を目指す農業ベンチャーが集う「農業のシリコンバレー」が島根にできればどんなに盛り上がるだろう。農業の根底に”3K”がしっかりと根付けば、そのころには「農業はダサい」なんてイメージはとっくに無くなっているはずだ。

最後に、農業そのものに対するイメージアップ(アピールの方法)について。

農業を題材にした映画を作るのはどうか?という案が出た。人のイメージを変える方法として映像作品はすごく効果的なやり方である。

例えば、2003年に放送されたキムタクのドラマ「GOOD LUCK!!」。作中に登場した柴咲コウ演じる女性飛行機整備師に影響を受け、その年の女性飛行機整備士募集が前年比激増したらしい。2007年、福山雅治の「ガリレオ」放送後には物理専攻人気が同じように起こった。連載中の漫画「銀の匙」のように、若者の一次産業をテーマにした作品は少ないため、作成しただけで話題になる可能性は高い。農業をテーマに、かつての「ウォーターボーイズ(2001年)」の様な現象が起きれば、島根の農業の活性化とアピールの両方に貢献できそうである。

 

 

Shimane Future Center が目指すもの?

上記の方法は言わずもがな、「口で言うのは簡単」な話である。

「野菜をブランド化する!」「農業のシリコンバレーを作る!」と言っても、「ブランド化ってどうやるの?」「特区ってどうやって作るの?」となり、その分野の専門家がフューチャーセンターの場にいないとそれ以上アイデアが深まらない。

そういう意味でも、フューチャーセンターの肝である参加者の”多様性”が真に求められている。

というか、社会人の方ぜひぜひご参加ください、お願いします!切実に!

(それが良いか悪いかは置いておいて)、現状では「やる気のある大学生クラスター」が参加者のメインになっているため意見の多様性が圧倒的に少ない。生きている年数が少ない大学生に”専門性”を求める事は現実としてなかなか難しい。Shimane Future Center が次に力を入れるのは「オモシロい社会人の誘致」かなー

 

説明が前後してしまったが、Shimane Future Centerでは、話し合った内容を具体案に落とし込んで形にする事が目的ではなく、「こういう理解もできる」「こういうアイデアの広がり方もできる」という「アイデアの拡張」をメインの目的にしている。さらに興味が湧いた人が個人でさらにアイデアを深めるも良し、実行に移すも良しというスタイルである。フューチャーセンターの参加者全員に同じ方向を向かせ、共通解を求め、共通のゴールを定める事はしない。個人がバラバラに専門性を持ち出し、個人がバラバラにその人に合った利益を持ち帰ればいいと思う。

フューチャーセンターを通し、たくさんの人の話を聞かせてもらっているといろんな事が気になって心に引っかかっていく。自分の考えた事もない方向から繋がりが見えてくる。「膝を打つ」「目から鱗」な瞬間にたくさんぶつかる。 “異なる背景を持った人たち”が共通のテーマを議論するフューチャーセンターのスタイルの重要性と価値はこれからますます認められていくことになると確信している。これからもますます熱量のある集まりにしたいなー!

 

会場となった順光寺の住職 豅(ながたに) 純吾さん(右下)は、学生活動にご理解があり、さまざまな協力をしていただきました。ありがとうございます!

第1班のフューチャーセッション。当日はお鍋やお寿司、お酒もすこし入りながらの忘年会モードでのセッションでした。それでも中身は超白熱です。

会の最後には、各班のセッションのまとめ発表を行いました。

みんな真剣に聞いてます

第3班。「ファシリテーションしきれなかった!!!」という賣豆紀君 渾身の土下座。

閉会。最後の閉めは代表のリクから。本当にお疲れさまでした!

「Shimane Future Center」Facebookページやってます!

学生・社会人問わず参加者を募集していますので興味のある方は是非メッセージください :)

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