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みんなでリアルクマムシをスマホ顕微鏡でハントしてきた @ニコニコ学会β in ニコニコ超会議3 (企画の始まり・準備・振り返り)

2014/05/04 ysdyt 0 Comments

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2014年4月26・27日に開催された「ニコニコ超会議3」内の企画の一部、「ニコニコ学会β」にて『スマホで探せ!クマムシハント』というブース展示を行ってきました。

“スマホ顕微鏡”(後述)というデバイスを使って、参加者のスマホやタブレットで”地上最強生物 クマムシ”が歩いているところを観察してもらおうという企画。クマムシって何?って人はコチラ

ちなみに第三回目となるニコニコ超会議には去年よりも更に2万人多い125,000人、ニコニコ学会βのコーナーだけでも10,000人が参加したそうです。

そして嬉しい事に『スマホで探せ!クマムシハント』ブースにも予想を超える人集りが…。イベント前日も夜中まで頑張って準備したのでヒジョーに嬉しかったです。ありがたやありがたや。

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予想通りニコニコユーザーのクマムシ認知度はかなり高くて結構マニアックな質問も飛び交いました。”クマムシさん“は知っていても動いているクマムシを見るのはほぼ全員が初めてだったようで、なかには生クマムシを見れて絶叫する人もいてニヤニヤ(←嬉しい)

蓋を開けてみれば大好評だった”クマムシハント”ですが、準備不足で十分な宣伝やチラシなどを撒けなかったのが悔やまれる。。。ということで後付けなりますがイベント全般についていろいろ振り返りを兼ねて書きます。
イベント当日にどんなことをしたのか、展示していた”スマホ顕微鏡”とはどんなものだったのかはQ&A形式でツラツラと書きたいと思います。では!

写真 H26-04-26 16 12 04

<参加のきっかけ>

2013年2月の中頃。参加していた「生命科学若手の会」という計算機生物学(バイオインフォマティクス)の話題を主に扱う研究会で、ニコニコ学会β 委員長の江渡さん(@KoichiroEto)がトークゲストとして参加されていた。”野生の研究者”とか”ニコニコ学会β”とか”アミッドスクリーン”の話をされていたのだけど、おそらく会に参加していた一般の生物学研究者的には別の世界の話に聞こえていたと思う。

かくいう自分は実は去年のニコニコ超会議2に初めて参加してニコニコ学会βを知り、すごく感動して関連本を読んだり友達に布教していたりしていたので「生の江渡さんだヤベェ…」という高まりまくった変なテンションを必死に隠して変な奴だと思われないように江渡さんに「今年の学会βのボランティアスタッフ手伝わせてください」とお願いしておいた。

この時の江渡さんは自分にとって「テレビで見る人」、ならぬ「インターネットで見る人」だったので直接いろいろお話できたのがすごく嬉しかったなぁ。

<企画の始まり>

数日後、渋谷のFabCafeに再度集合し「スマホ顕微鏡ネタでブースを一つ作る」という話になった。ボランティアスタッフかと思えばブース運営の話になっていた。。。

先日の「生命科学若手の会」でクマムシのネタをゲットしていた江渡さんは他方といろいろ話を着けて「スマホ顕微鏡×クマムシ」という企画としてやろうという話へ。自分と同じ研究グループでクマムシの研究をしている@kyonkyonstoneと、江渡さんと同じく学会β委員をされている明治大学の福地さん(@kentarofukuchi)とで『スマホで探せ!クマムシハント』を行うことがその場で決まった。ニコニコ学会βの中身はこうしてサックリ決まっていくのかと良い意味で驚愕。

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<企画の準備・キャンパスのコケを拾いまくる>

スマホ顕微鏡を貸してもらっていろいろと自分たちで観察してみた。ここからは@kyonkyonstoneと試行錯誤の日々。

企画の主旨としては「スマホ顕微鏡を通して、自分たちの身の回りには目に見えない小さな生き物(この企画では特にクマムシ)が沢山いるということを知ってもらう」という感じ。

スマホ顕微鏡自体もっとおもちゃかと思っていたら意外にかなりはっきり見えるぞ…!ということですごく楽しい感じに。研究室で@kyonkyonstoneが飼っているクマムシを見てみたり、キャンパス内からクマムシが居そうなコケを拾い集めてきて当日のイベント会場でも簡単にクマムシの観察ができるように観察条件を検討していった。

写真 H26-04-04 14 19 58

@kyonkyonstone指導の元、キャンパス内からコケを集めたわけですがキラキラしたJDが闊歩するキャンパス内で地面にうずくまってコケをほじくる作業はなかなかの所業だったことは言うまでもない。生協のおばちゃんにも不審な目で見られたのでさわやかな挨拶を返しておいた。

 

年度末から年度始めのゴタゴタした時期だったこともあって準備に手間取り、最終的に準備が終わったのがイベント前日の日が変わるくらい(というかほぼ当日)。

それでも@kyonkyonstoneはこれまでのクマムシかわいいイメージを覆すかっちょいいイベントポスターを、@kotone_nytはスマホ顕微鏡で観察したクマムシがヌルヌル動くイベントwebページとスマホ顕微鏡撮影に最適化したiOSアプリ(後々公開予定?)をサクッと作成。2人の秀逸な仕事の完成度。

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当日までの流れはこんな感じ。
順番が前後した気がするけど「スマホ顕微鏡」をQ&Aで説明するとこんなかんじです。

Q.『スマホ顕微鏡』ってどんなもの?
A.スマホやタブレットのインカメラ(自撮りカメラ)の上に乗せるだけで超簡単に顕微鏡観察ができるようになる超シンプルなデバイス。デフォルトのカメラ機能のみを使用し、別途電源やアプリなども必要ない。観察画像はスマホのディスプレイに表示される。
実は、スマホ顕微鏡の開発者は世界で初めて位相差電子顕微鏡を開発した永山國昭 自然科学研究機構 生理学研究所 名誉教授という偉い先生。
スマホ顕微鏡についての詳細はコチラ→ スマホ顕微鏡 Leye(エルワイ)

Q.どういう原理で物体を拡大してるの?
A.古典的な顕微鏡である”レーウェンフック顕微鏡”と同じ、ガラス製のボールレンズを使った原始的な原理で拡大している。簡単に言うと虫メガネみたいなもの。詳細はコチラ

Q.どんなものが観察できるの?
A.光をある程度透過する薄いものなら結構なんでも観察可。水中の微生物や虫の羽、花粉、鉱石っぽいもの、紙幣などなど。

Q.どれくらいの大きさまで拡大できる?
A.100倍くらいまで拡大できる。理科の教科書に乗っているような0.1mmくらいのポピュラーな微生物(ex.ミドリムシ・ゾウリムシ・線虫・ワムシなど)なら余裕で見ることができる。クマムシももちろんバッチリ!

Q.100倍より拡大することはできないってこと?それって微妙じゃない?
A.現状は100倍より拡大することはできない。しかし新しいスマホが発売され、カメラ機能が進化し解像度が上がることでスマホ顕微鏡自体の倍率が上がらなくても実質観察できる倍率は上がっていくことになる。このへんがデジタル機器と組み合わせた利点でもある(ちなみに、現状でもインカメラ画像を拡大表示させるカメラアプリなどで10倍ほどさらに拡大することも可能。しかし画像は荒くなる。)

Q.実際の観察に最低限必要なものは?
A.スマホ顕微鏡、インカメラが付いたスマホ(orタブレット)、見たいサンプル、光源(太陽光でもok)。以上。
アプリのダウンロードやその他細々した器具は必要ない。アウトカメラでももちろん観察できるが画面をひっくり返すことになるのでディスプレイでの観察が困難になる…

Q.で、結局、スマホ顕微鏡のウリはなに?何がそんなにイイの?
A.①観察した画像を保存してSNSなどで簡単にシェアできる(もちろん動画もok)②スマホ顕微鏡のデバイス自体がシンプルな構造なので壊れにくい。子どもでも直感的に使える ③野外に持ちだして簡単に顕微鏡観察ができる ④デジタル機器と組み合わせたことで機器の進化に付随してさらに小さな物体が観察可能になる ⑤お手頃価格(後述)

Q.iPhone以外のスマホ(アンドロイド端末)でも見れる?
A.インカメラの上にスマホ顕微鏡を置くだけなので見えるといえば見える、が、要調査。というのもアンドロイド端末に搭載されているカメラの性能はメーカーによってピンキリで、いくつか写りを確かめたアンドロイド端末(タブレット含む)ではiPhoneと比較すると少し観察視野が狭くなったり暗くなったりした。しかしカメラ性能をウリにしている端末なら綺麗に見えるかもしれない。つまりカメラの性能に左右される。アンドロイドユーザーは少し注意が必要かも。
イベント中に確認できたものとして、Apple製品ではiPhone5以降に発売された端末(iPad,mini含む)なら非常に綺麗に観察できた。最低でもどれくらいのカメラ性能があれば綺麗に観察できるか詳細は不明。

Q.スマホ顕微鏡はどこで買えるの?
A.現在はネット販売(amazon)のみ。性能に対してお手頃な¥3,780 ハイヨ(。・ω・)ノ http://leye.jp/buy.php

Q.スマホ顕微鏡のコミュニティーってある?
A.Facebookページ「Life is small」にていろんな人がいろんな観察画像・動画を好きに投稿している。子どもが撮った顕微鏡写真を楽しくシェア、ではなくちょっと年齢層高めのマニアックな方々のページになりつつある。

Q.クマムシ見たい!捕まえたい!
A.クマムシハントのwebページにて画像付きで採取方法を紹介してるのでゼヒ参考に。クマムシ博士 堀川さんのブログでも! → もし助手ガールがクマムシを採集観察したら(むしブロ クマムシ博士のドライ日記)

番外編
ちょいちょい写真に写り込んでいる”キモカワイイ”クマムシぬいぐるみは我らが研究グループのボス 荒川先生が監修されて最近販売が始まったそうです(上に乗ってる2匹が荒川先生監修クマムシ。下の大きいのが堀川先生監修のクマムシさん)。特殊な趣味の人はどうぞ。母の日のプレゼントとかにどうですか? → 最強生物 クマムシL サイズ:30cm

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スマホ顕微鏡。すごくシンプルなんだけど革命的に感じられるデバイスです。ブースに来てくれたお客さんを見る限り、スマホでミクロな世界を垣間見れるというのは誰もが直感的にオモシロ!と思えるよう。子どもでも簡単に取り扱えるし顕微鏡マニアなおっちゃんたちもトリコになっているそう(単純なものだからこそ逆に燃える、ってやつですね)

「動物園に行けば、人間より大きい動物が多数いる。見栄えがする大きなものに、人々はひかれる。しかし、生物の99.9%以上は人間より小さい。したがって、観察には顕微鏡が欠かせない。手軽なスマホ顕微鏡が普及すれば、いろいろな使い道がある。子どももお年寄りも世代を超えて利用できる。多くの人が参加して、世界中の環境情報を収集したりするのにも役立つだろう。教育や産業、医療にも使ってほしい。ミクロの世界は人間の心を揺さぶる。こういう身近なイノベーションこそ社会を変えるだろう」

– スマホ顕微鏡開発者 永山國昭先生(スマホで新しい顕微鏡文化を目指す より)

アナログで、デカくて、繊細で、高価な機器だった”顕微鏡”も最近になってデジタル化・大衆化の波にあるようです。いろんなデバイスが開発・販売されててこれからアツい分野の一つになりそうですね。こういうムーブメント大好き。

 

これからのムーブメントとしては、ネットに繋がるデバイスとリンクしたメリットを活かしてもっとインターネット的な繋がりが期待できそう。例えば、エンジニア向けのスマホ顕微鏡ハッカソンを開いたりするとオモシロイかも。位置情報を付けて観察画像を地図にマッピングすることで日本のミクロな生物マップを集合知的に作ってみたり。ちりめんじゃこに紛れ込んだ他の生物の幼虫?を集合知的に集めるチリモン図鑑みたいな感じで作ってみたい。

あと、夏休みの自由課題として丸一日使った子供向けワークショップとかも楽しそう。クマムシを観察するのであればコケを採取するところから参加者全員でスタートして、親子でスマホ顕微鏡で発見していくなどいろいろと凝ったワークショップができそうです。

写真 H26-04-27 10 47 43

最後に。
「スマホで探せ!クマムシハント」は科学技術振興機構(JST)、慶應SFC冨田研究室のメンバー・荒川先生、クマムシ博士 堀川さん、スマホ顕微鏡開発者の永山先生、ニコニコ学会β委員 福地さん・江渡さん方たくさんの方のご協力で運営されました。大変だったけどオモシロかったー!二日間ほぼ立ちっぱなしだったので足が棒のようになった…

メディア掲載
スマホの前面カメラが100倍顕微鏡になる「Leye」5月発売。汎用カメラアプリ利用可、3780円

nikoniko

(集合写真 – ニコニコ学会β 6より

P.S
イベント当日の様子がビデオになりました。同じ研究室でクマムシの進化系統の研究をしている@kyonkyonstoneと卒業生の@shiocandyさんの秀逸なアドリブレポート。イベントで見てもらった乾眠状態のクマムシは@kyonkyonstoneが研究室で”飼育”してた子達です。コケから見つけるのは簡単でも、安定して飼育するのは死ぬほど難しそう。そのへんは愛が必須らしい。愛だよ、愛。

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