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760万人も増えた島根の観光客はどこから来たのか?

2015/02/24 ysdyt 0 Comments

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※以下に参照するグラフや表はすべて、島根県が出している観光動態調査結果(平成25年度、最新版)からの引用です。

島根県の観光動態について調べていると気になるデータを見つけた。
ひとまず以下のグラフを見てもらいたい。
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ずっと横ばいだった観光客数が平成25年にニョキッと増えている。
これまで、「陸の孤島」と呼ばれるほど県外からの交通アクセスが不便な島根への観光者は横ばい、もしくは緩やかに減少しているものだと思っていた。しかし調査結果ではなんと、 平成25年度には36,809千人の観光客をカウントし、前年と比べると7,621千人(前年度比+26.1%)も増加している。

ただこの理由は地元民ならよく分かると思う。この調査結果でも変動要因を
・出雲大社「平成の大遷宮」の効果による増。
・松江自動車道(広島島根)全線開通の効果による増。
としている。これらの影響は疑うところが無いだろう。

現に、主要観光地の入込客延べ数はトップが出雲大社(+130.8%増!!!)であり、トップ2,3も出雲大社周辺の観光地である日御碕と島根ワイナリーがランクインしている。平成の大遷宮さまさまで、増加した観光客は出雲にほぼ集中しているように見える。米紙による日本庭園ランキング12年連続No.1、そしてミシュラン・グリーンガイド・ジャポン三ツ星獲得の足立美術館は島根の東端に位置しながらもさすがの集客力(+50.2%増)。世界遺産登録された石見銀山は他と比べるとそれほど大きく伸びておらず(+18.4%増)、車がないとアクセスが面倒なのがネックなのか…
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気になるのは「この増えた観光者はどこから来たのか?」だが、結論から言うとよくわからなかった。ただ、興味深い数字がいろいろ並んでいたのでそれについて少し書きたい。もし「こういう理由でしょ」という推測があれば是非コメントなどで教えて下さい。

それではまず、県内客と県外客の割合について。
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これらの数字からは、平成25年度の観光客数増加は「県外客」によってもたらされており(前年度比+34.13%)、その観光客の中でも特に「日帰り客」の増加(前年度比 +51.47%)が目立つ。つまり、平成25年度の観光客数増加は「県外日帰り客」の増加が貢献してそう。

高速道路や鉄道の利便性を考えると、島根に「日帰り」できる場所というのは島根の隣県(山口・鳥取・広島・岡山・兵庫)と考えるのが妥当であると思う。実際に、日帰り観光客の発地の結果はそのようになっていた。
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ここで、観光客増加の原因に書かれていた「松江自動車道全線開通」のことを考慮すると、その道路の末端となる広島からの流入が多くなり「県外日帰り客」が増えたのでは、という予測がたつ。しかし、前年・前前年との県外観光客発地別入込客割合の推移を見てみると、むしろ広島からの流入数は減少傾向にあることがわかる。
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ううむ、これを見る限り他の近隣県の割合もそこまで上がっていないので、「県外日帰り客」がどこから来ているのかわからない…

ただ、別のデータを見てみると気になる数字が並んでいた。
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表は、市町村別の地観光入込客延べ数を表しているが、増加の理由がつきそうな出雲市、松江市に混じって、「雲南市」への観光者がかなり増えている(+48.9%増)。増減割合だけ見ると、出雲大社で集客している出雲市に匹敵するほどの増加率である。
(ちなみに最近話題の浜田市と津和野市で観光者が減少しているのは、この調査年に大雨による水害を受けたため)

雲南市は桜100景の土地として、4月頃にはたしかに観光客が増えそうである。しかしそれ以外の月には観光客がこぞって向かうような観光地があるという場所でもない。しかし、平成25年度の雲南市は4月だけでなく、1年を通して例年より観光客が増えていたようである。
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雲南市に観光者が増えた理由を考えてみると、先の松江自動車道は雲南市にも繋がっていたことがわかった。
仮に、島根に対する「県外日帰り客」の増加が自動車道の開通によって引き起こされ、雲南市への観光客の増加もその影響によって起こったのであれば、やはり広島方面からの観光者の流入が島根への県外観光客増加の大きな原因になっていると思うのだが、どうなんだろう(「県外観光客発地別入込客割合の推移」の数値と矛盾するから違う気がする)。。。つまり、このエントリータイトルの問いである「島根への観光客はどこから来ているのか?」への答えは、『広島県民がたくさん出雲大社を見に来てる』で合っているのか?はっきりわかりませぬ…

話は変わりますが、
もう一つ、この人口動態数値を見て思ったのが、「地方(島根)と都市(広島)を高速道路で繋ぐ怖さ」について。
昔から、地方へのアクセスを上げるために近隣都市から高速道路を伸ばす推進が行われているが、その一方で、「地方と都市を結ぶと人が都市に流れて地方はより疲弊する」という危険性が注視され、道路建設は慎重に行われている。「ストロー効果」といわれる人口流出現象で、吸う力が強い街に人が流れていきます。

先に出した数字を見る限り、平成25年度の観光数の増加は明らかに出雲大社の「大遷宮イベント」によって牽引されている。他にも島根出身 錦織圭くんの活躍や典子さま婚約の話題もあって、もうしばらくは出雲ブームが続くかもしれないが、時期が来たら終わります。しかし、出雲観光ブームがひとしきり終わっても高速道路は残ります。その後は、島根の人が”観光”ではなく、”就職先”として広島などに出て行く流れがドバっと来るのでは、、、ということをこの人口動態調査結果を見ていて感じた。道路って怖えぇ…

話は戻って…
観光人口増加について、これまでは人数ベースでの数字結果でしたが、金額ベースで見てみると少し興味深い結果がでていました。
今度は「県外」の観光客であり、かつ日帰りではなく「宿泊」するお客さんについてです。

この「県外客・宿泊」は、人数的には「県外客・日帰り」(8,293千人)の1/3ほど(2,785千人)しかいないが、観光中に消費する金額ベースで比較すると同じくらいのお金を使ってくれています(県外客・宿泊は688億円、県外客・日帰りは657億円)。
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この「県外・宿泊客」は関東や北陸東海を含む「本当に遠方」から来てくれている観光客であり、その約半分(47.5%)が「初めて島根に来た」人であり、また約7割が「初めての観光施設」を回っている。初めてづくしの観光では財布の紐も緩くなりそう。
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そして、「本当に遠方」から来てくれている観光客でも特に「関東」から来てくれる人は年々増加傾向にあるそうです。
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関東での仕事終わりに東京駅から寝台特急に飛び乗り、土日に出雲大社を観光する「女子旅」が流行っているとかなんとか、そんな話も聞いたことがあります。観光に落としてくれる消費金額が同じくらい(平成24年度は宿泊客の方が多い)であることを思えば、高速道路を伸ばして(ストロー効果に怯えつつ)、広島からの日帰り客を増やすよりも、関東など遠方の観光客をもっと招き入れる観光誘致政策を採ったほうが島根にとっては幸せではないのかとも思えます(その辺の話は個人的にやってることがあるのでまた次回に…)。

そんな感じでいろいろ脱線しましたが、増加した島根観光者はどこからきてるのでしょうか。気になる気になる…

P.S
観光動態調査って、数字を見てるといろいろ面白いことがでてきます。他には例えば、
・宿泊する市町村
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あれだけみんな出雲周辺で観光しているのに、宿泊地は半分以上が松江。玉造温泉とかしんじ湖温泉とかが人気なのでしょうか

・外国人宿泊客延べ数
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平成25年度は香港からの旅行者が前年度比+964%増!!!簡単にググってみたが、めちゃくちゃお得なキャンペーンなどがあったわけでもなさそう…香港人に何が起こったんだ…
しかし、平成24年度には台湾が+174.5%増、平成23年度には中南米が+1139.5%増と、トータルの海外旅行客数自体の母数は少ないものの年によって2万~3万人をゴロゴロと動いている。国別で見ても(この5年くらい)50%ぐらいの観光者増減なら頻繁に起こっている(多くても各国5000人程度の観光客数だが)。地方への外国人観光者の動態というのはこんなふうに安定しないものなのだろうか…

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