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ご縁の国の”1000年保つ”和紙婚姻届を作りました

2015/12/13 ysdyt 1 Comment

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島根時代からの長い付き合いの友人が結婚するとのことで、お祝いに「手漉き和紙で作った婚姻届」をプレゼントしました。

和紙は、ユネスコ無形文化遺産に登録された島根県浜田市の西田和紙工房さんで作られている手漉き和紙である「石州和紙」を、書式の印刷には、最近お世話になっているKEIO EDGE LABさんのレーザー加工機を利用させていただきました。

 

意外に自由な「婚姻届」

婚姻届については以前からいろいろ調べていたので、

  • 婚姻届は最低限のフォーマットさえ守ればデザインを施してもok(完全自作もok)
  • 自身の住民票がある役所以外で得た婚姻届でも提出ok(しかも提出する窓口も日本全国どこでもok)

ということは知っていました。

また同時に、「婚姻届という記念になるものが手元に残らないなんて残念過ぎる」という意識も持っていたことから、「記念として手元にずっと残る、しかも素敵な婚姻届を自分で作りたい」とずっと思っていました。

そして遂に、「友人の結婚」を口実に製作をスタートさせました。

 

にわかに流行りつつある「オリジナル婚姻届」

実は、このオリジナル婚姻届製作に着手する段階で、すでにいくつかの会社や役場がビジネスや行政サービスとして趣向を凝らした婚姻届を提供していました。会社は「新たなビジネス分野の開拓」として、行政は「市民サービス向上や地元の魅力発信」という目的の元、ユニークな婚姻届を提供しています。

それらを調べ、参考にしつつも、改善したいと思った点がいくつかありました。

  • 「手元に残る」ことをアピールしつつ、実は二枚婚姻届を書かせているだけという点
  • 「地元の魅力発信」を謳いつつ、その魅力があまり伝わらない点(例えば、静岡県のご当地婚姻届は「富士山の絵」を載せているだけ、など)
  • ちょっと、可愛すぎる点….(キャラクターモノなど。これは個人の好みの問題ですね…)

個人的には、”手元に残す”ために二度婚姻届は書きたくない、むしろ、色々なことを思い、緊張して書いた1回目の文字こそずっと残したいものだと思っています。

そして、キャラクターやポップな絵柄のかわいい系の婚姻届。
これは完全に個人の趣味ですが、自分ならもっとシックな、子どもや孫にも自慢できるようなかっこいい婚姻届を残したいなと思いました。

 

一生に一度のものだから、徹底的にこだわりたい

そしてせっかく、「ずっと残る」ことを前提に考えるなら徹底的にこだわりたい。そこで、『素材となる「紙」から選びたい』というところに行き着きました。

そう思っていたところ、幸運なことに、島根県浜田市で「石州和紙」という1300年にも渡って続く伝統的な手漉き和紙を生産されている方とお会いできるご縁がありました。

この石州和紙の技術はなんと「ユネスコ無形文化遺産」にも登録されています。和紙工房見学やいろいろなお話をうかがう中で「絶対、石州和紙を使いたい!」と強く思うようになり、こちらの和紙を利用させていただくことにしました。

均一に紙を"漉く"工程。写真は西田和紙工房の継承者、西田勝さん

均一に紙を”漉く”工程。写真は西田和紙工房の継承者、西田勝さん

もちろん紙は一枚ずつ漉く。この繰り返しが現代まで続いてきたのか...

紙は一枚ずつ漉く。この技術が1300年続いてきました

漉いた紙がどんどん重ねられていく。剥がす時はアオイトロロのお陰で一枚づつ綺麗に剥がれる。

漉いた紙がどんどん重ねられていく。アオイトロロという繊維を繋ぐ”のり”の役割をする植物抽出液のお陰で一枚づつ綺麗に剥がれる。

最高の素材も手に入り、あとは実際にこの和紙を「婚姻届」に仕立てていくのみです。

和紙に所定の婚姻届の「枠(フォーマット)」を印刷するのにはレーザー加工機を使いました(婚姻届のデータはイラレで作成)。

実は和紙にも通常のインクジェットブリントで綺麗に印刷できるそうです。ただ、個人的には、せっかくの特別な紙に普通のプリント印刷するのも微妙だな、となんとなく感じていました。

何か良い方法は・・・と考え思い出したのが、以前一度だけ渋谷のFabCafeで利用したレーザー加工機です。

その時は、マカロンの表面に焦げ目を入れるように文字や絵を書く体験をしたのですが、それを和紙でもできないかと考えトライしてみることにしました。

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マカロンの表面にレーザー加工機でいろいろ書く

完全に漂白された白ではない、ややクリームががった優しい色味の和紙に、レーザー加工の焦げ目がすごく合うと直感的に想像していました。しかも、レーザー加工で文字を「焼きこむ」ので一生文字が経年劣化すること無く刻印されます。

レーザー加工機も、偶然の繋がりからKEIO EDGE LABという慶應大学日吉キャンパスの中に設置されたファブスペースで利用させていただきました。

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speedy300というレーザー加工機で和紙表面に彫刻する。一枚印刷するのにだいたい30分かかる

そんなこんなで、たくさんの人の助けを借りながら出来たのが「複写式の和紙婚姻届」です。

 

記入した瞬間の「想い」が一生残る和紙婚姻届

作成した「複写式の和紙婚姻届」の特徴をまとめるとこんな感じです。

  • 素材の紙には、島根県浜田市の手漉き和紙である石州和紙を仕様(ユネスコ無形文化遺産にも登録されている“1000年保つ”とされる凄い和紙)
  • 和紙婚姻届の上にカーボン紙を重ね、さらにその上に役所に提出する公式の婚姻届を重ねて書く。つまり、書いた文字が和紙婚姻届に転写され、和紙婚姻届は記念に手元に残せる。一番上に重ねて書いた公式婚姻届は通常通り役所に提出する
  • 和紙婚姻届のフォーマットはレーザー加工機で作成。焼きこんだ文字が和紙の雰囲気とマッチして良い感じ。消えずにずっと残る。
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和紙の婚姻届の上に文字を転写する用に市販されている普通のカーボン紙を重ねる

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さらにその上に役場提出用の婚姻届を重ね、通常通りボールペンで記入(役場提出用の婚姻届も、和紙婚姻届にピッタリ重なるように自作)

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カーボン紙を取ると…ちゃんと複写されてる! (手漉き和紙っぽく、和紙の左端には敢えて”耳”の部分を残してみました)

 

地域観光に繋がる特別なものへ

実は、今回作成した「手元に残る婚姻届」のアイデアは2年ぐらい前からずっと持っていました

最近になって、自分の友人たちが結婚し始めるようになり、その報告を聞く度に「やはりこういう婚姻届があると良いなぁ」という気持ちが大きくなり暖めていたアイデアを遂に実行した、という感じです。
話が飛ぶような感じがありますが、この「手元に残る婚姻届」のアイデアは、「島根県への旅行者を増やしたい」というところが根っこにありスタートしています。

知らない人も多いと思いますが、島根県には出雲大社があったりして、“ご縁の国”として「縁結び」を1つの大きなブランディングキーワードにしています。

DAIGOがイメージキャラクター。駅や観光地で良く目にするポスター。

他人同士だった人たちが恋人になり、婚姻届を出す(=家族になる)ということはまさに『人の縁』だと思うし、島根県でこの特別な婚姻届を売り出すことは非常に親和性が高いと個人的に思っています。

さらにその婚姻届の素材に、地元が誇る「手漉き和紙」を使っていることも「島根の魅力発信」に繋がると強く思っています。

この和紙婚姻届を島根県内だけで販売することで、『島根に来て婚姻届を手に入れ、提出してもらうついでに観光もしてもらう』、その結果として県内観光業に貢献できたらいいなぁ、という遠い目標を立てています。

ただ、ここまでかなり個人的なエゴで作ってしまっているので「この婚姻届を欲しいと思う人が本当にいるのか?」という不安が残ります。

今後は知人にも使ってもらい、フィードバックをもらいながら、エゴではなく、みんなに「欲しい!」と思ってもらえるようなものに近づけるため、現在の「婚姻届バージョン1.0」からいろいろ試行錯誤して改善していきたいと思ってます。

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