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島根を救う(かもしれない!)コミュニケーションロボット “OriHime”に感動した

2013/03/28 ysdyt 0 Comments

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株式会社リバネスが主催する「知識創業塾」に参加してきました。
この会には自分も今回初めて参加したのですが、おもしろいビジネスをされている起業家の話を聞き、ご飯を食べて、参加者交流するという集まりみたいです。

 

今回のメインスピーカーはオリィ研究所の代表 吉藤健太郎さん

オリィ研究所は現在、早稲田大学のインキュベーション施設内に会社を構え、『メンタルヘルスケア』を目的としたコミュニケーションデバイス “OriHime(オリヒメ)”(人的遠隔操作による癒しロボット)の研究開発、販売、および付帯サービスの提供を行われているそうです。

トップの写真は、OriHime Mini というロボットです。
製品の機能としては、おでこの部分にカメラがついていて、音を拾ってiPadやiPhone、パソコン越しにテレビ電話ができるという感じです。首がグリグリ動きます。

簡単に言うと、
身体の不自由な人・病室から出られない人でも、離れた場所にいる人と簡単に会話(コミュニケーション)が取れるようにサポートしてくれるロボット
です。(寝たきりの人を持ち上げたり、モノを運んだりするロボットではなく、またAIで勝手にしゃべったりするものでもない)

 

コミュニケーションロボット?

正直に言うと、個人的には「ロボット」が「介護・メンタルヘルスケア」の領域に入ってくる事に否定的です。現在の日本では介護の手が足りない、と盛んに言われていますが、その代わりをロボットに埋めてもらう、というのは違うだろうと思っています。特に、『人と人を繋ぐロボット』とか『ロボットセラピー』という言葉に強い猜疑心を持っていました。

これまでの例で言えば、

 

 

こんなんとか、

 

 

 

こんなんとか、

 

 

 

こんなんとか、

 

がありましたが、

『ソレに話しかけて何か改善するの?』
二枚目の写真とか、もう…. (三枚目の写真は好き)

って感じでした。しかも値段が20万〜40万するんですね。。。

 

そういう感じだったのですが、こういう系のロボットで初めて、OriHimeにはすごく感心しました。

特に、OriHimeを作るにあたっての『コミュニケーションとは何か?』という難しい問いに対する製品哲学にものすごく共感しました。
また、OriHimeは「介護」ということをポイントにされているようですが、
「コレって島根ですごく役に立つのではないか?」と感じました。介護に関わらず、高齢化が進む土地での高齢者の孤立化を防ぐために有効なデバイスになりえるのではないかという期待でいっぱいです!

「介護」よりも「高齢者向けデバイス」という観点でOriHimeの印象的だった点を書こうと思います。 でもこの二つは本質的にはほとんど同じ意味合いじゃないかなと思っています。

 

OriHimeのインターフェイス

上にも書いたように、OriHime は物理的な体を通してテレビ電話のように機能します。
実は島根にいた頃に友人と集まって、ビジコンに提出するアイデアとして「高齢者でも使えるネットデバイス」を結構真剣に考えていたことがあります。

高齢者がネットでSkypeなどを利用し遠隔の友達や家族・孫と話ができれば嬉しいに違いない!孤立化を防げる!ということから始まりましたが、話を重ねるうちにこれはものすごく難しいことだと分かってきました。

一番大きな問題は、「高齢者はほぼあらゆる電子機器に対してアレルギーがある」ことです。そもそもこれはアレルギーではなく、歳を重ねると避けられない人間の問題かもしれません。

テレビ電話用端末として、混乱を防ぐために物理的ボタン徹底的に排除したタッチパネル式のデバイスでさえ、高齢者にとってはディスプレイ上の電子ボタンを「ボタン」と認識することが難しいのです。操作法のわからないiPadは高齢者にとっては「複雑怪奇な板」です。

また、PCに仕込まれた超極小のマイクやカメラも高齢者にとっては問題です。「どこを見て」「どこに話しかけていいか」わからないのです。電子部品の発展・小型化は、ある意味で高齢者をデジタルからより遠ざける一因にもなっています。
(こういうことを含めて、考えていたビジコン案をまたどこかで公開できればいいのですが、それは別の機会に。)

 

その点、OriHimeは「顔」があります。
画面はPCモニタかiPadを見ればいいですが、話しかけるのはOriHimeの「顔」でいい。すごく些細な事ですが、これは高齢者にとってはものすごく分かり易い「会話するため」の電子デバイスの形だと思います。
OriHimeを見たときに一番始めに思った疑問は、インターフェイスとして「どうして物理的な体を作ったのか」です。
テレビ電話ならモニターとマイクさえあればよく、今ならiPad一つで出来ます。

しかし、やはり高齢者にとっては、「顔」があったほうが分かり易い。そして、「首が動く」という、「動作する」事も非常に重要であるそうです。

OriHimeの画面出力と入力にはiPadが使われていますが、操作にボタンを押す必要はほぼなく、iPadのジャイロセンサーを利用して、iPadを傾けた方向に首が曲がります。こういうiPadの使い方なら、高齢者にとっても直感的にわかりやすいインターフェイスのはずです。

 

「電話」の問題点

会話デバイスとして「物理的身体」を与える事にはさらに利点があります。それは
『存在感がでること』です。

家族と(テレビ)電話で会話をしていて、「間が持たない」という経験があると思います。祖父と孫が電話して次々と会話が生まれる、家族全員がテレビ電話の前に30分集まる、ということは結構むずかしい。

それは、「電話」が「出来事を共有するデバイス」ではなく、「要件をつたえるだけのデバイス」だからです。

要件が終わったら会話が無くなる、電話が切られる、のは普通の事です。要件の無い電話に出るほど毎日暇もないし、話し相手の家族が退屈していると感じる高齢者なら遠慮して電話はかけられなくなってしまいます。
OriHimeなら何気ない食卓に置いておいて、接続しっぱなしにしておけばいい。
さすがにPCでSkypeを立ち上げ、ディスプレイに食卓を出力しつづけておくのは何か違う気がしますが、
物理的な身体があるとそれがオブジェのように「存在し」、飾っているだけで過剰に意識する事無く「出来事を共有する」ことができます。「人型」と「PC画面のSkype」の『存在感』の違いは全く別物です。

確かに、OriHimeの機能だけを見ればSkypeで代用できるものですが、物理的身体があることでその役目は電話とはまったく別のものになっています。これってものすごいことだと感動したんですがどうでしょう??

 

OriHimeの示す「コミュニケーションの本質」

OriHimeを見たときに感じたもう一つの疑問が、「顔をつけるにしても、どうしてその顔なのか?」です。見え方によってはエイリアンです….

 

開発者の吉藤さん曰く、
コミュニケーションは『表情』ではなく、『動き』だ
とのこと。

OriHimeの顔を笑顔のニコちゃんマークにする事は可能でしたが、その「ニッコリマーク」はただの「デジタルの記号」でしかない。また、脈略の無い笑顔は「恐怖」の印象すら出ます。

吉藤さんは、パントマイムをしていた経験から「ノウメンの表情」のコミュニケーション力に注目していたそうです。
パントマイムは、役者の動き(演技)だけで「表情を作る」

そこからヒントを得て、OriHimeの顔は敢えて、笑顔やかわいさをプッシュしたものではなく、利用者が遠隔で操作する首の動きによって「表情を作る」ことを目指しているそうです。

「首の動きだけで…?」と思うかもしれませんが、これが意外と親近感が湧くんですよね…! カメラの視野は首の方向に制限されるので、首をひねって人を見つけて話かけられたりするとSkypeにはない”リアルさ”を感じます。「頷く」「首を捻る」って動きだけなのに、人間の「認知」っておもしろい。OriHime独特のコミュニケーション哲学だと感じました。

 


ぐだぐた続きましたが、

めっちゃ島根で役に立ちそうな気がする!

ということを言いたいのですね!!

高齢者に対しての利用の容易さ・実用性を考えてもすごく良いと思ったし、ロボット製品にありがちな「ロボット好きが自己満足でつくった」製品とは明らかに違います。

 

そもそも高齢者向けのデバイスって、良いモノがない。

もっと言うと、現在パソコンを使いこなす一番高齢層は50代が区切りになってそうな気がします。それより下の年代は日常的にパソコンを使いますが、上の年代ではがくっと利用者が減っているような感じです。
つまり、あと10年そこそこでパソコンを使えない層の人数はさらに減り、「すべての年代でデジタルを使いこなしている」ということが前提になる社会が来るはずです。

そのころには高齢者でも多くの人が当たり前にネットにアクセスはできる時代になり、今 販売される高齢者向けITデバイス(ラクラクフォンみたいな製品)が売れなくなる時代が来るのではないか、と製品を作る側も思っているのではないか。だから現在、積極的に「高齢者向けITデバイス」が出てこないのだと思っています。
(余談ですが、ネットが使えない世代が律速となって残っているような製品、例えばFAXや新聞などもこの時期に転換を迎えるんですね、たぶん。)

そんな中でも、OriHimeは高齢者向けに非常に有意義なツールになるのではないかと感じました。吉藤さん曰く、値段も10万円を切るのが目標だそうです、そしてさらに改良も加えていくとのこと。すごく期待してます!

 

プロフィールページを見てもらえれば分かりますが、吉藤さん自体変わった経歴と、有名なロボットコンテストでの数々の受賞歴があるすごく優秀な方です。(しかもめちゃくちゃ明るくて良い人でした!)
プレゼンも非常に興味深くてまったく退屈しませんでした。「コミュニケーション」についてのお話はなるほどと思う事ばかり。。。

 

OriHimeのβ版を試験提供されているそうです!

ご興味ある島根の方(もちろんそれ以外の方も)おられませんかーーーーーー!!!?

 

P.S
OriHimeに手足がついたやつ。かわいい…

P.S2
会場となった三軒茶屋のアゲマキでついにミドリムシバーガー食べれました。

バンズにミドリムシ二億匹配合。(これでプチサイズ)
味は「普通の」ハンバーガーでちょっと悲しかった。。。

やや緑色…だと…. !?

 

 

 

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