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Local Change!『オープンデータ・オープンガバメント』で地域の魅力を100倍伝える

2013/09/15 ysdyt 0 Comments

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『オープンデータ』『オープンガバメント』という概念がムーブメント化してきています。

教科書的な定義もありますが、簡単に言うと
「オープンデータ」とは、行政や公的機関、公共性の高い企業などが業務で得た情報を誰もがアクセスし利用できるようにしたデータです。
「オープンガバメント」とは、行政の業務プロセスをオープンにしたり、得た情報をオープンデータ化するなど「透明性」を担保したガバメント(政府)のことです。

「オープンデータ」も「オープンガバメント」も要は、問題ないものはどんどん公開して、市民や行政、企業など関係なく利活用してもっと効率的な社会を目指しましょう、という感じでしょうか。

個人的に興味があり、オープンデータやオープンガバメントを利用してより多くの人に地方の事を知ってもらえないかと模索しています。ここでは、オープンデータやオープンガバメントという概念の簡単な紹介と、現在考えている地方におけるそれらの活用法について書いてみました。

定義を書き並べるよりも実際のモデルを例にしたほうがわかりやすいと思いますので、いくつか並べてみました。(参考にさせて頂きた記事は最後にまとめて記載していますので、興味があればそちらもチェックしてみてください)

実際のところ、我ながら全然アイデアがまとまっていません。このエントリーを読んでいただいた方からのレスポンスをお待ちしています!

 

例①: 地域の課題を共有・解決する 『FixMyStreet』

fixmystreet top

町を歩いていると、道路施設の破損や不法投棄などに気づくことがあります。そういった時に『FixMyStreet』のアプリを使って、現場の写真を撮り、場所と状況を添えてweb上に投稿します。市民が報告し、行政はそれを見て必要に応じた対応を行う仕組みです。

このアプリのキモは、地域の課題を市民が投稿・共有し、課題を「見える化」することです。

 

普段、多くの問題は自分の知らない間に行政が解決してくれていますが、労働力が少ない地方においては、1から10まで行政の仕事にすると、その他の業務にも影響を及ぼします。「柵が曲がっている」「ゴミが散らかっている」「ベンチがボロボロになっている」、それらは本当に税金から支払われる割高な行政の労働力に任せるべき仕事でしょうか?  FixMyStreet によって「見える化」された問題を市民と行政が共有し、「市民でもできること・行政がやるべきこと」を再度考え、より効率の良い行政サービスを作るための手助けになってくれそうなアプリです。

道路の陥没対応

(問題のある箇所のマップ、解決前と解決後の写真などが添えられます。対応のやりとりなどもコメントとして残される。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

除草作業(「車道脇に草が生えていて通行に危険」という投稿に対して、行政土木課の人よりも早く市民がレスポンスし、除草まで行った例なども見られる。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例②: オープンデータを活用した新しい農家向け保険商品 『Total Weather Insurance』

Total Weather Insurance top

異常気象が多くなり困るのは農家です。『Total Weather Insurance』は農家での過剰降水・干ばつ・冷害・凍結・強風などの悪天候による収穫被害に対して、年間を通じた収入補償を提供する「保険サービス」です。保険の価格決定部分にオープンデータが利用され、国立気象サービスが提供する気象データや農務省が提供する過去60年の収穫量データ、土壌情報などのデータから収穫被害発生確率を予想し計算されます。残念ながら、現在はアメリカだけのサービスとなっていますが、オープンデータの活用が進み、農業のIT化が必須になってくるこれからの世界でますます存在感の大きくなるサービスになりそうです。

 

独自のリスク予測(250万ヶ所から得る気象測定データと、主要な気象予測モデルから得られる日々の気象予報データとを、1,500億ヶ所の14テラバイトにも及ぶ土壌観察データと合わせて処理することで、10兆にも上る気象シミュレーションポイントを生成し、保険の価格決定やリスク分析に活用している。)

 

 

 

例③: 増え続ける医療費を削減する有力な方法 『遺伝子検査サービス 23andMe』

23andme top

アンジェリーナ・ジョリーの乳房腺切除で一気に有名になった遺伝子検査サービス。最大手はgoogle創始者の奥さんが共同創始者を務めるアメリカの『23andMe』という会社です。唾液を送るだけで自分が将来罹る可能性のある病気の遺伝子リスクを計算してくれます。しかもたったの99ドル。「遺伝子を調べる」ことについてや、技術そのものに対する賛否両論がありますが、ここでは遺伝子検査の大きなメリットである「予防医療」に関して。

 

「病気になったから医者にかかる」というのは遺伝子リスクもう時代遅れになりつつあります。誰もが病気にはなりたくない。「病気になってから、ではなく、ならないための医療」が遺伝子検査という「道具」によって可能となり始めています。遺伝子検査によって癌のリスク、糖尿病のリスクなどが人より「少し」高いとどうなるでしょう。これまでより「少し」歩く距離を多くしたり、食事にも「少し」気を使うかもしれません。しかし、その「少し」は医者から「かなり」遠ざけることになります。既に、地方都市の年間予算の半分にも達し、ますます増え続ける巨額の医療費は、病気のリスクを「知る」ことから大きく削減できるはずで、遺伝子検査により予防医療こそが、医療費削減のための唯一の現実的な方法であると思います。そして、あまり知られていませんが23andMeは個人情報を伏せ、許可を得た上で個人の遺伝子情報をオープンデータとして公開しています。将来は遺伝子情報を使った画期的な医療サービスがオープンデータによって作られているかもしれません。

 

これまでの例をまとめると
FixMyStreet (例①) は行政サービスを、
Total Weather Insurance (例②)は 農業を、
遺伝子検査サービス 23andMe (例③)は 医療を、それぞれオープンデータやオープンガバメントという領域から新しい発展を起こそうとしています。

しかし、もっと身近な、それこそ「島根で」、「今」、役に立ちそうなものはないのか?そのうちの一つとして、『税金はどこへ行った?』という活動があります。

 

例④: 税金の使われ方と金額がひと目で分かる 『税金はどこへいった?』

スクリーンショット 2013-09-14 5.34.38

“Where Does My Money Go?” (邦題:税金はどこへ行った? 省略形:WDMMG) は、自分の年収を入力するだけで、自治体に納めた税金がどのような事業にいくら使われているのかがザックリ分かるwebアプリです。

この活動はオープンデータ活用に積極的なイギリスが発祥です。有志が日本の税徴収制度に合うように公開されているソースコードを改変し、日本語解説を付け、他の地域でも簡単に利用できるように再配布されたことで、現在(2013年9月15日現在)、46市町村分のWDMMGが個人レベルから公開されています。

WDMMGはオープンソースを利用することで比較的簡単にその地区ごとのWDMMGを立ち上げることができます。また実際に利用する税金データは、その地区の行政財政部などがweb上に公開している予算書などを元にしています。つまり、税金に関する知識がなくとも、行政職に関係していなくても、市民レベルで簡単にデータを取得・webページを開設することができます。まさにオープンデータを活用した代表的なモデルです。
一度見ていただければわかりますが、なかなかかわいくて、「へえ〜」と思わされる内容です。

WHERE DOES MY MONEY GO? ~税金はどこへ行った?~ 島根県松江市版

 

使途別予算額

例えば、島根県松江市での「平成25年度予算 会計別・一般会計予算 概要」に記載されたデータを見てみると、全体の968.3億円の予算の内、約半分の412.4億円が健康福祉に割り当てられています。また公務員への給与を示す「総務費」に87.6億円が割り当てられ、これは教育文化費に使われる90.8億円に並びます。治安維持には25.3億円が使われ、一日あたりにすると数十円になります。1日に数十円払うことで町の治安を守ってもらっていると考えると、民間ではありえない価格でサービスを受けているのだと理解できます。このような内容をわざわざ行政のHPに行って、予算書PDFを落として見てみようと思う人はほとんどいないと思います。

 

 

 

 

WDMMGはオープンデータを使った面白いアプリではありますが、まだまだ発展の余地があります。日本のオープンデータ推進で大きな活動をされているOpen Knowledge Foundationの事務局長 藤村さんや代表の庄司さんもFB上でこのような会話をされています。

税金はどこへ行った 意見

税金はどこへ行った

 

 

オープンデータは地域にどう貢献するのか?

「オープンデータを活用して何かビジネスにならないのか?」「役に立ちそうな気はするけど、実際にどう役に立つのかわからない」というのがオープンデータに対する現状です。最近では行政だけでなく大手企業でも積極的にオープンデータを活用しようとする動きが増えてきましたが、アイデアソンやハッカソンを開催しさまざまなアイデアを集合知的に集めている段階です。業務で様々なデータに触れている人たちの中には、「オープンデータでビジネスはできない」と否定的な人たちもいます。まさに今がオープンデータの過渡期的な時期です。

そんな中で、特に「地方を発信する」という目的で、地域での立ち上げ・運用が簡単な「税金はどこへ行った?」を発展させて役に立つことはできないかと考えています。 いろいろな人に相談する中で幾つか面白そうなアイデアもでてきました。

 

”モノ言う地域投資家”を作る 「税金はどこへ行った?」×「ふるさと納税」

日本には独自の素晴らしい税金制度である「ふるさと納税」があります。この制度を利用して地方自治体に寄付を行うと、寄付額のほぼ全額が税額控除されるという納税者にもメリットのある制度です。しかし、手続きの煩わしさからあまり利用されていないようです。そこで、WDMMGが示す税金の使途を元に、ふるさと納税を推進するような仕組みを作れたら面白そうです。

キーワードは 「税金はどこへ行った」×「クラウドファウンディング」×「ふるさと納税」です。

プロダクト案

例えば 、公共事業に使われる金額を示した下に、「あと◯円あったら駅前にシェアスペースを作れる」というようなクラウドファンディング形式の「達成バー」みたいなものを視覚的に設置し、県外からの「ふるさと納税」で政策資金応援をしたくなるような流れに持っていければ面白いのではないでしょうか。

 

ふるさと納税そこに「ふるさとチョイス」のようなふるさと納税推進のポータルサイトへリンクを張って(もしくは行政HPの特設ページへ飛んで) 決済の誘導をしてみるとか。ふるさとチョイスのように「5000円以上の納税で島根の名産品をプレゼント」というような納税者に対するインセンティブが付けられればいいですね。

 

 

 

 

 

島根県 商品

( 5000円以上のふるさと納税を行うと、その土地の特産品を1品もらうことができる。行政と協同して、ふるさと納税の手続きを簡略化できれば利用者はもっと増えるかもしれない。)

 

 

 

 

 

 

 

 

日本での初代クラウドファウンディングである 「ReadyFor?」 では2011年4月の公開から総額で1億7000万円もの応援金が集まったそうです。プロジェクトの社会性や発起人の夢に関係の薄い人達からでも1億円以上もの資金が集められるのであれば、「地元愛」にはもっとお金が集まりそうな気がします。「地元で働きたかったけど、仕事がなかったので東京に来た」という人はたくさんいるはずです。そういう人たちを含めた県外の人に「ふるさと投資家」として、地元の現状(税金の使途)・ニーズを知り・簡単に・気持よくふるさと納税を選択してくれる仕組みは地方自治体の大きな助けになるはずです。将来、国からの補助が減り、住民も老い疲弊していく地方都市で自ら活動資金を得て行くことの価値は大きいはずです。

「お金出すだけではなく意見も言いたい」という人もいるかもしれません。確かに、行政が作成する予算書に対して市民がもっと議論する場所が必要だと思います。そこで、「私なら、税金をこういう風に使う」と意見表明するための機能として、『You Choose』のようなサービスを組み込むのも面白そうです。

 

スクリーンショット 2013-09-14 19.35.11(『You Choose
歳出削減案に対する対案を、公開されている行政データに基づき市民が作成できる。スライダーで金額設定するだけのシンプルなインターフェイスで税金使途に対する意見表明ができる。)

 

 

 

 

もしくは、様々な機能を付けるのとは反対に、1つだけのテーマを「市の財源」という面から掘り下げることも考えています。例えば、島根県の課題と言えば全国NO.2の29.1%高齢化率の「少子高齢化問題」。行政が公開しているデータを使って、「高齢化」が進むほどにどれほどの予算が使われているのか、若い人に使われるはずだった予算にどれくらい影響がでているのかを「税金」という面から掘り下げていき問題提起するのも良いかもしれません。

 

最後に

アイデアすらも明確に定まっていないのですが、オープンデータ・オープンガバメントは地方でこそ大胆に、効率よくその真価を発揮できると思っています。
オープンデータ・オープンガバメントがもたらすインパクトは、作ったwebサービスやアプリではなく、従来の決定のプロセスを変えるところにあります。これらの新しい概念やテクノロジーが地域のコミュニティーや県外に伝わりにくい魅力をもっとオープンにしてくれるのではないかと期待しています。

オープンデータ・オープンガバメントをお題にして、技術的な事を抜きにしたアイデアソンを Shimane Future Center の場で設けようかと検討中です。行政の人と市民がお互いのことを知り、一緒になって街の事を考えるチャンスを作りたいなあと考えています。みなさんのアドバイス・要望などもぜひ教えて下さい!

( これまでのShimane Future Centerの取り組みはこちら)

 

<追記>
2013.9.16の山陰中央新報に「税金はどこへ行った?松江市版」について掲載していただきました。

山陰中央新報

しかし、それよりも気になったのが別枠で掲載されていた記事。

ふるさと納税

 ふるさと納税額が島根県では42件388万円に対して、お隣鳥取県では2459件3514万円とのこと。この差は一体…

ちょっと調べてみると、鳥取県(県庁所在地米子市)は以前より、「寄付額よりも良い特典が返ってくる」ことで有名のようです。寄付方法もクレジットカード可で、ネット上だけで完結できるようになっているらしく、ふるさと愛とか全く無しに、お得だからということで「楽天を利用する」感覚で納税が集まっているようです。うーむ。確かに、1万円以上の寄付の特典が豪華です。
(参考ブログ①「ふるさと納税」全国トップクラスの米子市 人気の理由 ,②
やっぱりふるさと納税は米子市だね♪)

「商品で釣るふるさと納税はアリか」という話もありそうですが、意外なところで鳥取県が力を入れているということが面白い。

 

<参考にさせて頂いたページ>
日本版Data.govへ大きな一歩!統計APIを公開へ。
オープンデータ活用事例と今後の動向
オープンデータで作る、オープンガバメントと「Do It Ourselves」な社会
市民でより良い政府をつくる、シビックテクノロジー
G8首脳会議で議論されるオープンデータと透明性 オープンガバメントと日本の動向
FixMyStreetでガバメント2.0を始めよう!
Total Weather Insulance、10兆ものシミュレーションポイントでリスク分析
 普通の人が行政データを元に政策の対案を作って公開するインターネットサービス「You Choose」
 WIRED 9月号 OPEN GOVERMENT 開かれた政府

※ 本文で紹介している「ふるさと納税を組み合わせたアイデア」は7月20,21日に行われた Spending Data Party Japan 2013のハッカソンイベントのオーガナイザー関さんが話されていいたアイデアを元にしています。

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