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今、出雲大社の”神門通り”がアツい

2013/10/16 ysdyt 0 Comments

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石畳4

ずいぶん前に聞いて感動してずっと書きたかった出雲大社における「ハード」のお話。そして今日、2009年にグッドデザイン”大賞”を獲得した北海道の「岩見沢複合駅舎」をデザインされた建築家 西村 浩さんのお話を聞く機会があったのでその内容も踏まえての話です。

話のメインは出雲大社の「平成の大遷宮」、ではなく、出雲大社へと続く大通り「神門通り」について。

昨年、出雲大社の鳥居へと伸びる神門通りは出雲市行政による新たな都市計画により「アスファルト」から「石畳」へと一新されました。
「観光地の道路を整備した」なんて、「観光・まちづくりはハードではなくソフトだ!」「建設物を作るのは今の時代に合ってない!」なんて意見がメジャーになりだした最近では逆に聞かなくなった感じがします(自分の周りだけだと思いますが)。

しかし、建築家などの”ハード屋さん”が実際にどういう意図を持って設計したか、という話を聞いてみると「深いなぁ〜」と思わされることがたくさん。「道」やその脇に位置する「建物」がどういう意味を持って「配置・設計」されているかなんて今まで意識したこともありませんでした。やっぱり物理的なモノを作れるハード屋さんはかっけえ!

という訳で、今、出雲大社前「神門通り」はこんな感じになってます。

大通り
何も言われなかったらあまり意識しないのですが、普通は車道に面する歩道はこうなっています。

歩道

わかりますか?
普通、交通量の多い道路は安全のために歩道と車道が明確に別れています(境界を表す段差もある)

写真を見てもらえばわかるのですが、神門通りは駐車場を出入りするための車と出雲大社を出入りする人で混雑しています。なのにこの道路の設計では敢えて車道と歩道を明確に分けませんでした。

神門通り

これは海外の都市計画デザインを参考に設計されたものらしく、『車道と歩道を分けると、車はスピードを出して走行する傾向が強くなり、歩行者も「歩道内は安全」と思い込みすぐ脇を走る車を意識しなくなる』という考えからできたものらしいです。敢えてその境界を明確化しないことで車と歩行者がお互いの存在を意識し、逆に安全が保たれるというメソッド。敷居となる段差も無い方がスッキリしていて素人ながらに都市デザインとして良さげな印象を受けます。そういう事を専門に勉強している人たちには一般的な話らしいのですが、自分のような一般市民には目からウロコです。

また、道路の「石畳」も行政の担当者の方がものすごくこだわって実現されたそうです。出雲大社鳥居内から続く、アイデンティティーとも言える石畳を、鳥居の外の通りまで拡張しようとしたアイデアはすごい。

出雲大社石畳(出雲大社 鳥居の内側)

石畳2(鳥居の外側 神門通り)

 また、「道路を石畳にする」ことは費用面だけでなく容易なことではなかったそうです。アスファルトとは違い、ブロック上に敷き詰めた石の上を車が走り続けると石畳が「割れる」という問題があるそうです。そういった問題を試行錯誤し解決され、出雲大社の文化が鳥居の外にまで表現されています。

正直、ここがアスファルトの道路だったとしても誰も文句は言わないのです。たぶん。しかし、そこを石畳にする。約330mに渡って、御影石1万枚強を使って。超かっちょいい”こだわり”じゃないですか。それに感激してようやく今年のお盆明けにこの「石畳を見に」出雲大社にやって参りました(出雲大社境内は何度も参拝したのでこの日はパスです)。

イメージ(着工前のイメージ図)

イメージ2(石畳になった後は車道は狭くなったものの以前よりも広く感じる)

石畳4(神門通り 石畳 ver.)

アスファルト(以前までのアスファルト ver.)

道路脇のたくさん並んだお店もある程度共通のデザインが取られているそうで、雰囲気のあるかわいい垂れ幕で彩られていました。

垂れ幕

予想外に楽しかったのが、「ご縁横丁」と銘打たれた新しい区画。

道幅が狭くてかなりごった返していましたが、いろんな地元食べ物やヘンテコなご当地グッズが所狭しと並んでいてかなり楽しめました。
出雲大社に観光される際は、神門通りの「道」にも是非注目してみて下さい!

ひそかにイチオシの出雲の新たなゆるキャラ 「古事記ひどいシリーズ

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素 材 の 味 を 殺 す ラ ー 油 ! ! !

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(ここから裏話題)
石畳工事にあわせて地元住民や観光客に石材(裏面)へ自由に(無料で)メッセージを記入してもらうイベントが行われていたそうです。その数1,600枚分。そしてその石材は実際に神門通りの区間に敷かれたそうです。敷くときには「裏面」にされて書いたメッセージも、そしてどこに敷かれたかも特定できないようになったそうです。数千人規模の人にせっかく書いてもらったのにそれはちょっともったいない。

石畳メッセージ

この話が、今日お話を聞いた西村さんの「岩見沢複合駅舎」の話に繋がります(岩見沢複合駅舎は2009年にグッドデザイン”大賞”を獲得)。
この駅舎も、建築時に壁面材料として使われる赤レンガに1,500円で誰でも「名前」と「住所」を掘ることができるという「岩見沢レンガプロジェクト」を打ち出し、海外からの募集も含めて約5,000個のレンガに協賛者の名前と住所が刻印されたそうです。

岩見沢駅

レンガ
(石見沢複合駅舎についてはこちらのブログがすごく綺麗でわかりやすいです。)

西村さん曰く、このレンガプロジェクトの目的は「財源確保」ではなく、地域住民に「自分もこの駅舎建設に関わった」という意識を持ってもらうことだったそうです。事業の一端に関与することで建物に愛着が湧いて、「駅舎建設」という他人ごとの公共事業を「自分の事化」してもらうことが目的であったと。今思えば、出雲大社の石畳メッセージも同じ事を目的に行われたのではないかと思います(担当者の方がすごくまちづくりのことを勉強されていたようだったので)。

余談ですが、岩見沢のレンガにも「名前や住所だけでなくメッセージを書きたい」となったそうです。岩見沢が出雲より一枚上手だったのはここからで、メッセージに関して、公共の建物にはめ込む以上、無秩序な落書きっぽものははめ込みにくい。そこで名前と住所以外のメッセージは専用のウェブページを立ち上げ、そちらに掲載するようにしたらしいです。( http://www.love-brick.com/ ←すごくおもしろいデザインのwebページだったのですが今はもう閲覧できないそうです。残念。一部画像ログだけ見つけました。)

神門通りの石材メッセージも、同じような理由で路面にはめ込むことができず、しかたなく”裏返して”はめ込んだのであれば、岩見沢のようにメッセージだけはweb上に掲載して名前などは見えるようにはめ込めれば良かったかもしれませんね(どこかでそうしてるかもしれないけど)。
昔、短期留学していたアメリカの大学では卒業生の名前を同じようにキャンパス内の通路のレンガに残していてすごく印象的だった記憶があります。この大学の卒業生は折に触れて恋人や子どもと訪れて自分の名前のレンガを見せるそうです。文化財である出雲大社の近辺に個人名の石材を敷くのは難しいですが、岩見沢やこの大学と似たような「可視化出来る、愛着を持つ仕組み」を取り入れられたらまた何かが変わっていたかも。

senior-walk

(雑記1)
当時、岩見沢レンガプロジェクトにおいて一番下で働いていた人は、一所懸命まちづくりに取り組む姿から住民の人に支持を得て、現在は岩見沢の市議会議員になられたそうです。前回ブログで書いた、「コンテンツが人を育てる」というのを改めて印象付けられた話でした。

(雑記2)
ネットでいろいろ見ていると、法政大学景観研究室の学生さん達が島根に来られていたときの記事を見つけました。神門通りは置いておいて、塩見縄手歩道の件には激しく同意。

 

▶写真や記事など参考にさせてもらったサイト
飾る写真撮ってます
カペラどうでしょう
島根県HP
ひぐらし仙人の気ままな日記 PartⅡ
http://kurashiatelier.blog84.fc2.com/ (タイトル不明)
景観デザインを目指せ
University of Arkansas
法政大学景観研究室
WORKSVISION
古事記ひどいシリーズ

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