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地方に人を集める方法は「魅力的なコンテンツを作ること」ではない、という話。

2013/09/23 ysdyt 2 Comments

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SHIMANE NIGHT

先日,最近話題の「IT企業が集まる徳島県」の事例を紹介するSHAKE100のセミナーや、関内mass×mass future centerで行われたSHIMANE NIGHTでいろいろ地域活性化に関するおもしろい話を聞かせて頂いたので、個人的に印象的だった話を忘れないうちにシェアします。ものすごく当たり前のような、深遠な真理のような、心にズバッと来た話でした。

徳島talk

地方活性化のエッセンスを暗示する町 徳島県神山町

徳島県で最近何かと話題の神山町は、簡単に言うと、「田舎の過疎地に、東京のIT系企業などが今風に改装した古民家を借りてサテライトオフィスを作り、集まり始めている」という場所です。空き家ができるほどの超田舎に東京の企業がくるなんてほとんどありえないので話題になっています。今では神山町へ100人ほどの入居希望者が順番待ちしているそうです。神山町がわからない人でもまちづくりに興味がある人は、葉っぱビジネスの「いろどり」の町 上勝町のお隣だと言えばピンとくるかもしれません。徳島県熱いです。

(詳しくはこちらのリンクなどを参照)
「徳島の過疎地にIT企業のオフィスが集結してるらしい」
徳島のシリコンバレー神山町がアツイ!(1)ーNPO法人グリーンバレーとの出会い

人気の理由にはやはりその土地の設備の良さもあるようです。神山では例えば、
・光ファイバー敷設率100%(東京より回線が早い)
・宿泊場とオフィスが一緒なので通勤時間がゼロ
・社員の家族も宿泊できる場所がある
・近くに海・山・川・温泉がある
・東京<->徳島間の飛行機チケットが特別料金でゲットできる(往復で2万5千円前後)
・徳島の空港・神山町にはオフィスの人が自由に使えるシェアカーを設置(利用料はガス代だけ)
・誰でも1000円/dayで利用できるおしゃれなco-workingスペースを設置
・古民家賃貸の契約や、風邪を引いたときなどいろいろなサポートを手厚く準備
・試しにオフィスを構えてみて、「なんか違うな」と思ったら簡単に利用を中断することが出来る
・地域住民も外部から来た人間に理解がある・優しい
・地域に入ってきてほしい人(職業)を逆指名するというシステム

などなどの物理的・精神的な設備の充実がされているそうです。

では、
そういった設備条件がIT企業誘致の成功要因なのか?
他の過疎地域も同じような設備を用意すれば県外から企業を呼べるか?

おしゃれな古民家など、これだけハード面を整備しているにもかかわらず、「そうではない」らしい。
こういった条件は確かに大切であるが、それらは「基本設備」であって、神山が成功した理由は「神山のコミュニティーと人の雰囲気が良いから」「あの人にもう一度会いたいと思わせる魅力的な人がいるから」とのことでした。ここからがこのエントリーの本題。

 

「人が良い」って結局どういうことを指しているの?

過疎地で活性化に成功した理由を「やっぱり人!」と説明されるのはなかなか悩ましい。なぜなら「人が良い」は他県での再現が難しいから。「こういう条例整備や設備投資をすればいいよ!」というアドバイスを求める行政の人などには一番悩ましい「成功の理由」なのではないかと思います。
これは当事者地域以外の人からはやはり分かりにくい感覚のようで、他の参加者からも「他の地域で神山モデルは再現可能であるか?」「人が良い、というのは結局誰のことなのか?」というような質問が出ていました。

確かに、すばらしい政策や魅力的なコンテンツさえあれば人が来てくれるわけではないことは誰もが肌感覚でなんとなくわかります。「コンテンツ自体よりも、人が良い・その空間の雰囲気が良いからファンになる」というのはディズニーランドやスターバックスでも同じことが言えると思います。

『じゃあ、活性化に成功した過疎地が成功要因にあげる「人が良い」って結局どういう意味なの?そしてそれを他地域で再現するにはどうすればいいのか?』というのがこの手のセミナーを聞いた時にいつも心に残る疑問でした。

shimane night2

「人が良い」の言語化とその再現性

(別日。SHIMANE NIGHTにて。)

google hangoutにて島根県海士町からトークセッションに参加されていた『巡の環』の信岡良亮さんは、地方に人を集める方法は「魅力的なコンテンツを作ることではない」と話されていました。

人が集まる理由は、「魅力的なコンテンツ自身」ではなく、いろんなコンテンツ運営に携わる「魅力的な人」に惚れて人が集まる。

また、「魅力的な人」は作ることができる。どんな人でもいくつもコンテンツを運営していると勝手に魅力が上がっていく、とのこと。

「魅力あるコンテンツ」で人集めをするよりも、いろんな人にいろんなコンテンツを任せて「魅力ある人」を育てる方が良い。そうするとその人に興味を持った人が集まってくる、と話されていました。

確かに徳島にも大南さんという「キーパーソン」「この人がいるから神山を選んだ」と言われる人がいるそうです。

(NPO法人グリーンバレー理事長 大南信也さん記事)
人が人を呼び、地域が人を活かす – 神山で見つめるそれぞれの未来
PEOPLE #11 大南信也さん | COLOcal

神山のモデルも、光ネット回線や古民家利用などハード面が注目されるそうですが、大南さんとその周りの人達が10年20年かけて1人づつ神山に呼んできた積み重ねがあるからこその「今」なのだそうです。長い年月をかけて「魅力が上がった」大南さん達に惚れた人が集まってきているのですね。

shimane night3

地域を光らせるために「地域のテーマ」は必要か?

ちょっと話は変わりますが、
徳島のセミナーで、『地域を発信するために地域の「テーマ」を掲げなければいけない』という話がありました。「私達の地域は何を目指しているか」「私達の地域はどうありたいか」「私達の地域はどのような人材を求めているか」ということを明言しましょう。「誰でもいいから来てほしい」ではなく、「私達の地域はこういう事を目指しているから、こういう人に来てほしい」ということを発信しましょう、と。すごく企業のマーケティング的な発想です。

対して、SHIMANE NIGHTで信岡さんは「テーマは重要ではない」と話されていました。
例えば、「あなたはあなたの住んでいる街のテーマを知っていますか?東京のテーマを知っていますか?日本の国のテーマを知っていますか?気にしたことはありますか?」

この件に関しては自分もよくわかりませんが、例えば松江市は「テーマを掲げた市」だったりします。

Ruby City MATSUEプロジェクト

松江(島根県)ではIT企業の誘致に力を入れており、実際にすごく条件の良い企業立地優遇制度がありますが、やはりなかなか難しいようです。

平成22年 島根県におけるRubyを活用した地域振興とIT企業の現状と課題 報告書
平成25年 ソフト系IT業界の実態調査 報告書(第5回)
(IT産業振興事業予算として1億5千万ほどが使われているが、県内IT従業者は4年で約100人増。県外進出する県内企業では、首都圏でIT需要が増え、雇用と売上が増)

「魅力的な人」でいうと松江IT界隈にもバッチリおられますので、これから松江ももっと火がつくかもしれませんね!とりあえず松江にもRubyアイドル居てもらわないと ← コレ大事

 

地方に人を集める方法まとめ

・『人が良い(=魅力的な人が多い)地域に企業や人が集まる』は真理。
・他地域が真似るべきは、コンテンツや政策そのものではなく、たくさんの企画を起こして、人に任せて、(行政なども積極的に)サポートし、「魅力ある人」を育てること。
・「コンテンツ」は人を集めるために使うのではなく、「魅力ある人」を育てるために使う。
・「テーマ」があることは大切かもしれないが、人を引っ張ってくる魅力的な人がいることが必須。

 

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